30歳主婦 恩師のお葬式で見た、素敵な夫婦愛

30代の主婦です。

私が恩師のお葬式で印象に残っているお話です。

中学校時代の恩師が私が大学生の時に亡くなりました。

その先生は部活の顧問の先生でした。

いつも親身に私たち生徒の話を聞いてくれる、素敵な男性の先生でした。

私たちの部活は合唱部です。

その先生も音楽家で、ピアニストで、アメリカに留学経験もある方でした。

ユーモラスで素敵な先生。

みんな大好きでした。

私たちが中学生の時にはもう、定年間近でしたが、その時はとても元気でした。

病気とは無縁でいつも元気はつらつ。

まさかその後、がんを患うとはだれも予想していませんでした。

私たちが卒業して2年後に先生は定年退職しました。

会う機会もなく、先生はどうしているかなあ、と部活仲間と会う時に懐かしんでいました。

大人になった時にみんなで飲み会とかしたいねーなんて言っていました。

先生ががんで入院しているらしいという知らせを聞いたのは大学1年生の秋でした。

友人からその知らせを聞き、とても驚きました。

まだまだ若かった私は「がん」という響きに恐怖を覚えました。

テレビなどではよく聞くけど、まさか自分の身近な人がなるなんて・・・。

しかも病状は悪いらしいとのこと。

どうしたらよいのか、お見舞いに行ったらいいんだろうか。

迷惑かなあ。

仲間内でそんなやりとりが繰り返され、一週間ほど時間が過ぎたころ、
先生は亡くなってしまいました。

本当にショックでした。

私にとっては初めて身近な人の死との対面でした。

先生はクリスチャンでした。

幼いころに行った親戚の仏教のお葬式以来のお葬式。

戸惑いもありましたが、作法など両親から聞いたり、調べたりしてお葬式に向かいました。

プロテスタントの教会でのお葬式でした。

はっきりとした流れは忘れてしまいましたが、オルガンの素敵な音色が印象的でした。

お経はもちろんなく、みんなで賛美歌を歌い、牧師さんのお話がありました。

また、三名ほど、先生の友人方が、先生との思い出をお話してくださいました。

「ああ・・・先生はこんな人生を歩んでこられたんだなあ」
「こんな思いで教師をしていたんだなあ」と、涙しました。

そして、一番印象的だったのが、奥様です。

先生の奥様は、先生と同じくクリスチャン。

そしてピアニストの方でした。

友人の方々のお話の中で先生はとても愛妻家だったというお話がありました。

きっと素敵な夫婦関係だったんだろうなあと思います。

奥様は最後まで涙を見せず、背筋をピっと伸ばしとても気丈にふるまっていました。

出棺前、先生の棺にお花を添え、みんなでお別れをしました。

最後に奥様がお花を添えたのですがその時に奥様はそっと先生にキスをされました。

そのシーンが今でも私は忘れられません。

涙は見せず、冷静に、でも別れを惜しむ切ない気持ちがとても伝わりました。

奥様が先生のことを心から愛していたんだなあということが痛いほどわかりました。

まるで映画のワンシーンのようでした。

お葬式で不謹慎だとは分かっているのですが、とても素晴らしい瞬間だったように思うのです。

最後まで涙を見せず、素敵なお別れをされた奥様の姿が本当に素敵でした。

辛いお別れでしたが、今でも心に残るお葬式でした。