70歳のおばあちゃん お葬式で激怒!
お葬式と聞いて私がまず思い出すのは、自身の母方の父、おじいちゃんの結婚式です。
この日は未だに忘れられないほどショッキングな一日として脳裏に焼き付いています。
私のおじいちゃんは長崎出身。
若い頃の写真をみても、いつもカラフルなワイシャツにビシッとセンターラインの入ったチノパン。
髪も死ぬ間際までふさふさでしたし、顔立ちもいわゆるイケメンだったと思います。
カラオケが大好きで笑い声が大きく、コミュニケーション上手。
いわゆるハイカラなおじいちゃんでした。
私たちにとっては、気前がよく優しい、本当の良いおじいちゃんでしたが、問題が発覚したのはまさにお葬式の日でした。
それまで、おばあちゃんも私の母も、私に隠していたことがありました。
それは、おじいちゃんにとっておばあちゃんは3人目の奥さんであるということ。
そして、前妻との間に計8人もの子供がいること。
その8人にも平等に資産を分けるとした書を残して死んでいったこと。
つまり、後半は病床に伏していたおじいちゃんを懸命に看護したおばあちゃんの知らないところで、おじいちゃんは前妻との子供にもお金を分けあたえようとしていました。
それに黙っていなかったのが、おばあちゃん。
もともと前妻との間にも確執があったようで、「あんな女の子供に1円もあげる気持ちにはなれない」とかなりのご立腹。
おばあちゃんが怒っている姿を見るのもはじめてだった私は、いたたまれない雰囲気に胸が苦しかったことを覚えています。
結局、お葬式の日には、どこから噂を嗅ぎつけたのかはるばる長崎から(おじいちゃんの最後の地は岡山でした)8人の男女がやってきて、しかも中にはお葬式だというのにも関わらずヒョウ柄のコートで来る女性なんかも居て、おばあちゃんが怒る理由もちょっとばかり分かるような気にもなりました。
「あんたにやるお金はない!私ばかりが面倒みて、あんたらは見舞いの一つもこなかったくせに!」などと親戚の前で叫んでいるおばあちゃん。
周りもおばあちゃんの気持ちが分かるからこそ止めるに止められず、物々しい雰囲気でお葬式は幕を閉じました。
残された者のためにする式だとはよく言いますが、あのケースに至っては、お葬式をしたことがあだとなって悲しい記憶が残っています。